自閉症スペクトラム障害
自閉症スペクトラム障害とは
以前は発達障害、アスペルガー症候群などと言われた疾患概念です。これらは、生まれつきの「特性」であり、病気とは一線を画します。また、「育て方」の問題でもありません。人とのコミュニケーションが上手くとれない、物事に対する興味の偏りやこだわりの行動がある、などが特徴とされており、現代のコミュニケーション能力が重宝される社会で生きづらさを感じていらっしゃる方がたくさんいます。ただ、このような方の中には、様々な才能をもっている方も珍しくなく適材適所で活躍できる場が見つかるかどうかが社会適応のキーとなります。
自閉症スペクトラム障害の診断
いままでの生活の細かな問診が中心となります。また、心理検査から自閉症スペクトラム障害の特徴が認められる方は診断の補助になります。
自閉症スペクトラム障害の治療
「病気」ではないため、薬物療法が効くものではありません。まずは、自分の特性を理解することから始め、自分にあった環境を探すことが大切になります。その過程で医師の面談やカウンセリングにより、一緒に問題解決を考え、自尊心の回復を図ることが効果的と考えています。また、家族、会社など周囲の理解も大切です。時に、苦手なコミュニケーションを克服するために“ハードなサービス業”などに周囲が強制的にチャレンジさせたり、自分から飛び込んだりする方もいらっしゃいますが、程ほどにしたほうがよいと当院では考えています。また、自閉症スペクトラム障害の方は、うつ病、強迫性障害などの別の精神疾患が併存することもまれではないため、それらの治療のために薬物療法などが必要な場合があります。